« 2007年11月 | メイン | 2008年01月 »

2007年12月22日

2007年テーマ文句

こんにちは~。
最近忙しくて、ブログ更新できないでいました。
私、忙しいって言葉好きなんですが。
充実してそうで良い。
でもバイト仲間の℃△君には怒られそうなので忙しいって言わないようにしてます。
「もっと効率良くすごせば全然忙しくないはずなんですよー」
すみません。ぼうっとしてしまってる時間があります。まことに遺憾であります。

*******************************************
みなさん、きょうは富士がよく見えますね、と説明ともつかず、また自分ひとりの咏嘆《えいたん》ともつかぬ言葉を、突然言いだして、リュックサックしょった若いサラリーマンや、大きい日本髪ゆって、口もとを大事にハンケチでおおいかくし、絹物まとった芸者風の女など、からだをねじ曲げ、一せいに車窓から首を出して、いまさらのごとく、その変哲もない三角の山を眺めては、やあ、とか、まあ、とか間抜けた嘆声を発して、車内はひとしきり、ざわめいた。
けれども、私のとなりの御隠居は、胸に深い憂悶《ゆうもん》でもあるのか、他の遊覧客とちがって、富士には一瞥《いちべつ》も与えず、かえって富士と反対側の、山路に沿った断崖をじっと見つめて、私にはその様が、からだがしびれるほど快く感ぜられ、私もまた、富士なんか、あんな俗な山、見度くもないという、高尚な虚無の心を、その老婆に見せてやりたく思って、あなたのお苦しみ、わびしさ、みなよくわかる、と頼まれもせぬのに、共鳴の素振りを見せてあげたく、老婆に甘えかかるように、そっとすり寄って、老婆とおなじ姿勢で、ぼんやり崖の方を、眺めてやった。
 老婆も何かしら、私に安心していたところがあったのだろう、ぼんやりひとこと、
「おや、月見草。」
 そう言って、細い指でもって、路傍の一箇所をゆびさした。さっと、バスは過ぎてゆき、私の目には、いま、ちらとひとめ見た黄金色の月見草の花ひとつ、花弁もあざやかに消えず残った。
 三七七八米の富士の山と、立派に相対峙《あいたいじ》し、みじんもゆるがず、なんと言うのか、金剛力草とでも言いたいくらい、けなげにすっくと立っていたあの月見草は、よかった。富士には、月見草がよく似合う。
*******************************************

突然ですがもうすぐ一年が終わるということで、今年の私のテーマ文句(こんなの皆さんありますか?)
であった「富士には月見草がよく似合う」
の文を切り抜いてきました。
読みたいと思うと結構すぐにみつかるのですね。
私はこの「富嶽百景」のこの部分が好きで今もちょっと鳥肌がたっていたのですが。今年はとにかくこの言葉がとてもよく頭の中でスクロールしました。似合うという言葉を聴くたびにこれ思い出してました。
「車の窓には犬がよく似合う」
とか自分でも作ったりして。これは教習所に通っていた時の話で、運転しているといつもと高さが変わるし、元来目線が低いので犬が良く見えるようになり、犬の存在により初めて人間がいることに気付くという危険な運転を繰り返していたのですが、あまり前向きでなく、そっぽを向いているという点で太宰治に近いものがあるのではないかと一人で思ってました。(全然だめですね)

最近は、この名文を駄文に変える計画みたいなものを脳内でたてて遊んでました。


*******************************************
みなさん、きょうは富士がよく見えますね、と説明ともつかず、また自分ひとりの咏嘆《えいたん》ともつかぬ言葉を、突然言いだして、リュックサックしょった若いサラリーマンや、大きい日本髪ゆって、口もとを大事にハンケチでおおいかくし、絹物まとった芸者風の女など、からだをねじ曲げ、一せいに車窓から首を出して、いまさらのごとく、その変哲もない三角の山を眺めては、やあ、とか、まあ、とか嘆声を発して、車内はひとしきり、ざわめいた。
私も首を出して富士を見た。「ああ」思わずため息が出てきた。富士には、朝日がよく似合う。朝の富士は格別であった。
*******************************************


どうですか??まだ富嶽百景読んでない子供とかにすりかえて読ませてみたいのですけど笑。素直な子に育ってくれるかもです。

今年のテーマ文句と言いつつ出会ったのは高校時代ですので、来年はそろそろ、新しい名文句を探したいものです。